作者の三浦建太郎さんが亡くなったため未完のまま終わってしまうかに思われた伝説的漫画「ベルセルク」がなんと連載を再開します。
ベルセルクは一話完結物でなくストーリー漫画ですからファンも続きが見られるとは思ってなかったことでしょう。
三浦さんによる続きのネームやラストまでプロットが残っているわけではありませんが、生前に親友で漫画家の森恒二さんや周りのスタッフや担当編集者に先のストーリーやエピソードを話していたそうです。
しかも森さんには最終回までの話を伝えていたそうです。さらに三浦さんが書いた構想メモとキャラクターデザインも見つかったとのこと。
再開後のクレジットは「原作・三浦建太郎 漫画・*スタジオ我画 監修・森恒二」となるようです。
いくら先のストーリーやエピソードを聞いていたり、構想メモとキャラクターデザインが残っていたとしても再開を決定するまでに色々と話し合いが行われたはずです。
再開を喜ぶ声がある一方で「勝手な事をするな」といった批判の声も間違いなくあるはず。さぞかしプレッシャーも大きいことでしょう。
再開後のベルセルクの出来がひどいものだったとしたらこれまで築き上げたベルセルクの価値まで落としかねません。
この記事では様々な困難が予想される中でベルセルク再開に踏み切った理由について迫ってみたいと思います。
- ベルセルク再開について詳しく知りたい方
- 作者亡き後、再開に踏み切った理由が知りたい方
- ベルセルクが好き、またはベルセルクに興味がある方
ベルセルクとは
ベルセルクは漫画家の故・三浦建太郎さんによって描かれたダークファンタジー漫画です。
連載開始は1989年で『月刊アニマルハウス』及び『ヤングアニマル』に掲載されてきました。
単行本はこれまで41巻出ており累計発行部数は全世界で5千万部(電子版含む)を超えています。※2022年6月時点
作者:三浦建太郎
既刊:41巻
掲載誌:月刊アニマルハウス→ヤングアニマル
累計発行部数:5千万部(電子版含む)
ベルセルクは中世ヨーロッパを下地とした「剣と魔法の世界」を作品の舞台としています。
三浦さんの圧倒的画力による絵、スケールの大きな物語、緻密な人物描写によりベルセルクの評価は非常に高く、2002年には第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞を受賞しています。
また西洋テイストの作風もあって人気は国内だけにとどまらず海外にも熱心なファンがたくさんいます。
そんなベルセルクですが2021年5月に作者の三浦さんが大動脈解離のため54歳で急逝し未完のまま連載が止まっていました。
ベルセルク再開の理由
ここではベルセルク再開の理由を考えてみたいと思います。

だって未完より完結させた方が良いに決まってるじゃん!
確かに作者が存命なら未完よりも完結した方が作品の価値は高まりますし、ファンにとっても幸せな事でしょう。
しかしベルセルクの場合は、作者が亡くなっており、「続きを完成させてくれ」なんて遺言があったわけではありません。
つまり三浦さんが自分亡きあと他人の手によってまでベルセルクが完成されることを望んでいたかどうかは分からないということです。

じゃあ出版社がどうしてもやりたかったんじゃない?
あれだけの人気作だし影響力も凄そうだし

まちがいなく出版社である白泉社の意向はあるだろうね
ベルセルクはヤングアニマルの看板作品でしたし、ベルセルク不在はきっと雑誌の売り上げにも影響が出ているはずです。
もちろん商売的な理由だけでなくスタジオ我画のスタッフに仕事を提供することやベルセルクという素晴らしい作品をなんとかして完成させねばという責任感もあったでしょう。
私が一番ベルセルク再開の理由になったと考えるのは親友である漫画家の森恒二さんと三浦さんとの深い絆です。
ホーリーランドなどの作品で知られる森さんは三浦さんとは高校の同級生で三浦さん家で一緒に漫画を描くような仲だったそうです。
大学も同じ日本大学藝術学部美術学科に入学しており三浦さんが亡くなるまでずっと良い関係が続いていたようです。
そんな親友である森さんに三浦さんは生前唯一最終回までのストーリーを話していたそうです。
森さんは自分しかベルセルクの最後を知らないことに重い責任を感じていました。
森さんがなんとかしてファンや読者に最後までのストーリーを伝えたいと考えていた所にスタジオ我画の三浦さんの弟子たちから「自分達にやらせてもらえないだろうか」と懇願され、森さんは意を決し監修として携わることを決意しました。
ベルセルク再開にあたり公表された森さんのコメントを紹介します。
皆さんにお断りと約束があります。なるべく詳細を思い出し物語を伝えます。
そして三浦が自分に語ったエピソードのみやります。肉付けはしません。はっきり覚えてないエピソードもやりません。三浦が自分に語った台詞、ストーリーのみやります。当然完全な形にはならないでしょう。しかし三浦が描きたかった物語をほぼ伝えられるとは思います。
三浦の弟子達の腕は本物です!
素晴らしい描き手です。
三浦不在の『ベルセルク』に不満不服あると思いますがどうか見守っていただきたいと思います。
よろしくお願い致します。引用元:白泉社
凄く真摯なコメントですね。
きっと三浦さんも天国で森さんなら任せられると思っていることでしょう。
ベルセルク再開に対して読者の反応は?
森さんもコメントで述べていましたが、三浦さんのチェックが入らないベルセルクに対して必ず批判は出ると思います。
また再開すること自体に否定的な人も一定の割合でいるでしょう。
ここからはベルセルク再開に対する読者の反応をいくつか取り上げて紹介したいと思います。
まずは再開に対して好意的な意見から紹介します。
・連載当初から追いかけていたので、本当に嬉しい
・もう涙が出る!作者の意志を受け継いで続行してくれるなんて
・とても嬉しい! 正直、心のどこかで諦めていたのだと思います。まさか続きが読めるなんて。歓喜です。
・初めに記事を見たときの印象は「ええ…」でしたが、編集部、森先生のコメントを見てまったく考えが変わりました。
・もう完結することはないと思っていたベルセルクを最後まで読めるのは本当に嬉しい。
・スタッフの皆さんも大きなプレッシャーを感じているだろうが、頑張ってほしい
次は否定的な意見です。
どういった批判が出ているのでしょうか。
・三浦さんが遺言として続けてくれと言い残していたのであれば別だけど、そうでないのなら三浦さんの作品の続編を勝手に作るのはまずいのでは
・個人的には「他の人が描いたらそれはもうその人のになるだけじゃない?」という感じしかありません。
・無理して完結することはないと思いますが...
・正直いくら関係者の思いがあろうが、これは「別物」だと私は思います
・残念だが、作者が描けなくなった(監修できなくなった)時点で終了を受け入れるべきなのでは?
・商業主義的にゾンビにしちゃうのは感心しない
大方は好意的に受け止めている読者やファンの方が多いようですが、やはりベルセルクには三浦さんならではの独創的な世界観がありますから否定する人も当然います。
熱心なファンであるがゆえに厳しい目になってしまうこともあるかと思いますがまずは暖かい目で見守ってほしいと思います。
まとめ
作者が連載中に亡くなり未完のままの漫画が世のにたくさんある中でベルセルク再開はある奇跡的な事です。
この奇跡が起きたのは同じ漫画家の盟友森恒二さんとの出会いがあったからこそでしょう。
ベルセルクというあれだけの偉大な作品ですから、連載再開後もずっと様々な批判やバッシングを受けることでしょう。
しかしそれは避けては通れない道です。もちろんそれを覚悟のうえで連載再開を決めたのだと思います。
森さんはじめ製作スタッフの方、編集部の方には天国の三浦さんが納得できるベルセルクとなるようにぜひとも頑張っていただきたいと思います。